G7での記者会見で醜態をさらした中川昭一氏の財務・金融担当相辞任は当然の結末だと思います。
酩酊していたのか、風邪薬を飲みすぎてもうろうとしていたのか、時差ぼけなのか、理由はそのいずれであっても、G7の会見であのような不遜な態度を世界にさらけ出した以上、即刻、辞任してもらわないと日本国民が世界からの笑いものになるだけです。
日本の財政政策、金融政策を一手に担うリーダーとして留まることは、とても耐え難いと感じる国民は多いと思います。森喜朗元首相がTBSの番組で「(中川氏の財務・金融相就任は)選考にはいろいろと異議がある」と語っていましたが、中川氏の辞任で一件落着とはいえず、任命者である麻生太郎首相の責任も免れるものではありません。
麻生首相は、あえて財金分離の流れを断ち切るように、中川氏に財務相と金融相を兼務させ、財金一体化運営をまかせました。麻生首相が行った組閣のなかで最も注目された人事でしたが、それ以前の低次元のことでうやむやになってしまいました。
(後任に与謝野馨経済財政担当相を兼任させるそうですが、これもまた巨大な権限が集中することで問題が多々あると思います)
ことの発端となったG7がローマで開催された14日、わたしは朝刊当番だったのですが、日本時間の午後10時(ローマとの時差は8時間)ごろにG7が終了して、本記や解説原稿が届いたものの、終了後に中川氏の記者会見原稿がなかなかこないので、おかしいなと思っていたら、ようやく15日未明にほんのわずか、「予算案の一日も早い成立が最大の景気対策」など二言のみの記事が届きました。
これでは短すぎて、「どうしてだろう」といぶかしんでいたら、ちょっと長めの原稿が届いたものの、読んでみたら白川方明総裁のコメントが付け足されだけ。「よっぽどつまらない会見だったのだろうな」「せっかくG7で日本の政策をアピールできる場であるのに」と思いながら、帰宅して翌朝のテレビを観て、びっくりというか、小泉純一郎元首相ではありませんが、笑っちゃうくらい呆れました。
中川氏は一目見て、酩酊しているのではないかと疑うくらい、ろれつが回らず、ひどい態度なのです。
記者会見の模様はテレビで何度も流されていますが、財務・金融相が日本の金利を間違え、というか記憶していないのは、驚きです。「声明文みたいなものが出ましたが」と発言していましたが、「みたいな」はG7そのものをバカにしています。質問者がどこにいるか分からず、「どこだ」と偉そうに言い放つのは、とても大臣会見とはいえるものではありません。「反保護主義という議論があったかと思うが」との質問には、寝ていたのか答えず仕舞いです。
眠そうな顔、口びるを突き出した顔、白川方明総裁の前のグラスを取る姿など、とても大臣としての品格のかけらもありません。英タイムズ紙には、「記者会見の醜態は最も視聴された」と皮肉られています。
あの会見はG7を終え、世界経済をリードする7カ国の一角である日本が、どのような存在感を示したかを世界に発信する場です。また、日本国民に対して、経済の安定化に向けていかに世界との協調したのか、メッセージを送る場です。
中川氏は「自分の健康管理の不注意」と釈明していますが、体調が悪いとの理由であっても許されるような態度ではありません。酩酊かどうか不明ですが、酔ったときこそ、その人柄、その人の本性が表れるものです。残念ながら、国民の代表として選ばれた国会議員、その国会議員のなかからリーダーとして選ばれた閣僚として、恥ずかしいかぎりです。
古典や哲学、芸術などを通じて真のリーダーを育てようとして創立された日本アスペン研究所が10周年を向かえ、「リーダーシップと哲学」をテーマにしたシンポジウムが昨年10月に開かれました。残念ながら参加できなかったのですが、その内容を紹介した記念号が送られてきたので、たまたま目を通していると、米アスペン研究所のウォルター・アイザクソン理事長がリーダーについて、こう述べていました。
「頭のいい、知的な人は大勢いますが、必ずしも全員がすばらしい指導者、リーダーになるわけではない。リーダーには知性だけではなく創造力も必要で、その創造力は謙虚さによって生じてくるものです。謙虚であれば世界に対してオープンな見方を持つことができ、寛容さ、許容力も備わっています」
残念ながら、中川氏の会見からは知性も、謙虚さも見受けられませんでした。


by cello810
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